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樹齢二百年を越える見事な秋田すぎの樹林に日がにぶくさしこんで来る朝
早く、自動のこぎりの轟音が響き、伐採がはじまる。
山峡を縫う、まるで積木電車のような森林鉄道で運び出される丸太。傍ら
ではトラックを通す道路工事が始まり、間もなく鉄道にとって代ろうとす
る。
山からおろされた材木は仁鮒の貯木場に集められ、そこで巨大ないかだに
組まれて、川を下るのだ。くじ引きで順番を決め、筏師たちは、それぞれ
『ろ』を手にいかだに乗り込む。やがて能代まで二十四キロ、六時間あま
りの旅が始まる。
幾つかの難所をきりぬけて、筏の上で頬
ばるご飯のおいしさは格別だ。しかし新しい道が出来ればこののどかな風
物詩も消えてゆく。もう家人がいかだを組む縄を作る事もなくなるだろう。
米代の流れにさおさしてゆうゆうくだるいかだの姿を来年からは見る事が
出来ない。
(作品No.:NAJ0984-04)
(昭和39年5月20日公開)
ミコヤンソ連第一副首相が五月十四日、ソ連最高会議議員団の団長として
再度来日しました。
赤いセールスマンといわれるミコヤン氏をむかえるトランジスターのセー
ルスマンといわれた池田さん。お迎えした国会では、折から共産党が核実
験停止条約に反対の投票し、ミコヤン氏も目を丸くしました。
その後国立博物館へも足を運び、古い日本の彫像を丹念に観賞しました。
更に鳩山邸を訪ねて日・ソ国交回複を実現した鳩山さんの人柄を讃え、ま
た日・ソ漁業交渉の立役者だった高崎さんの未亡人には、おくや
みの言葉をおくりました。
朝日新聞では、ここが各国の共産党の悪口を言う所かと愛きょうをふりま
きました。
ソ連大使館では大勢のお客様を招いてレセプション。胸に「金の星」を輝
かせて貫録の程を示しました。
(作品No.:NAJ0984-01)
(昭和39年5月20日公開)
車の凶悪犯罪、ひき逃げ事件は都会の交通地獄の激化とともにますますふ
えている。
東京だけでも、一日平均十四件の暗い記録を綴っている。
人を傷つけ殺し、そして逃げるこの憎むべき犯人を追う警視庁交通一課、
ひき逃げ捜査班の刑事たち。
事件が発生すると現場へ急行する。専門の鑑識課員がいないため捜査員が
現場鑑識の仕事もしなければならない。
どんな小さな証拠でも有力な手がかりとなるのだ。砂つぶ程の塗料片。わ
ずかなタイヤ跡。ガラスの破片など……昼は交通ラッシュの中で。夜は暗
やみの中で……そして現場に残されたわずかな手がかりをもとに目に見え
ない犯人を追う。目撃者を求めて、路上に駐車しているうたがわしい車に
も全神経を集中する。そして都内五千余軒の修理工場をしらみつぶしにあ
たる。捜査会議も何度となく開かれる。明けても暮れても足を棒のように
して歩き廻る。検挙率八〇%、しかし加害者に対する刑は余りにも軽く、
全くのひかれ損だという。
今日もはげしい怒りを胸に刑事たちは歩きつづける。
(作品No.:NAJ0983-04)
(昭和39年5月13日公開)