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大根一本五十円。白菜八十円。塩ジャケ一切四十五円也。店先のお値段ば
かりでなく風呂代もお医者さまの診察料も値上げの構え、おまけにバスも国
電もあしなみそろえての値上げムードに主婦も主人も頭の痛い昨今です。
生きてはいけないと主婦たちは普段余り関心のないデモにも加わり、家計
のやりくり算段を見て貰おうとお役人さまを招んで訴えてもみました。
苦しい家計簿。うなぎのぼりの物価に夫のサラリーはとてもおいつ
きません。
主婦連の代表たちは佐藤総理に会って直談判です。
「朝、目が覚めたらバスも国電もみな上ってしまったという事がないよう
に」と綴ったある主婦の記。
それはひとりの主婦だけのねがいではない。
(作品No.NAJ1011-02)
(昭和39年11月25日公開)
アメリカの原子力潜水艦がやって来るというので、佐世保の町は突然降っ
てわいたような黒船騒ぎとなりました。
反対派がオルグを送りこめば賛成派は宣伝カーで応酬します。丘の上には
反対派の見張所が設けられ、天体望遠鏡で水面を見おろします。
ついに十一月十二日シードラゴン号は佐世保港に現われました。佐世保米
軍基地附近には「安保闘争」を思わせるようなはげしいデモがくりひろげら
れ、その夜、東京でも国会に反対派の請願デモがくり出しました。
海水の汚染の調査も始められましたがそんな心配は全くご無用とばかり
シードラゴン号は工作艦に結ばれて専らお客さまの招待作戦。
青い目の水兵さんも佐世保の町に足をのばしました。
原潜寄港に案外関心を持っていない佐世保市民も多く、『安保条約の取り
決めがあるんだから仕方がない。こないことに越したことはないが』とよ
そ事のようにいう市民もいました。
やがて騒ぎも、怒りも尻目にかけて、まねかれざるお客さまはまたゆうゆ
うと日本の港を後にしました。
(作品No.NAJ1010-04)
(昭和39年11月18日公開)
第四十七回臨時国会は九日召集され、同日午後の衆参両院本会議で内閣総
理大臣に佐藤栄作氏を指名しました。
これに先立ち、自民党の川島副総裁、三木幹事長、大平副幹事長は同日午
前七時ガンセンターの池田首相をたづね新首班候補選考についてこれまで
の党内の調整経過を報告、最後の協議を行い、この結果、池田首相は後継
首班に『佐藤氏を推す』と裁断を下したのです。
佐藤栄作氏、河野一郎氏、藤山愛一郎氏と何れおとらぬ自信家の中で調整
役の川島副総裁、三木幹事長はさすがほっとした面持ちです。
本命間違いなしと自信満々の構えをみせていた佐藤派の面々も首班指名に
喜びを新らたにしています。
王さまをいただいて佐藤派も今日からは主流派、花も嵐も踏み越えて
新総裁の前途は洋々です。
(作品No.NAJ1009-03)
(昭和39年11月11日公開)