特集第18回オリンピック東京大会 (昭和39年 朝日ニュースNo.1005)
澄みきった十月の空の下、東京はオリンピック一色に彩られた。横浜港に
は遠く海を渡って来た巨大な外国船が続々入港した。ホテルよりも日本の
家庭を選んだ青い目のお客さんを日本の家庭はあたたかく歓迎した。
銀座の街は青い目、黒い目のお客さまであふれ、店頭の真珠には行列が続
いた。
一方新興国スポーツ大会出場選手に対する東京オリンピック参加資格停止
処分の撤回に折衝して失敗した北朝鮮、インドネシヤは総引揚げを表明し
両選手団はあわただしく帰国した。
金メダルは確実といわれた辛金丹も着いたばかりの日本を後にした。
十月十日、国立競技場は七万五千の大観衆をのみこんだ。ギリシャを先頭
に華やかな入場行進が展開された。遥々カメルーンからのお客さま。コン
ゴチームの二人きりの行進にも歓迎の拍手は高かった。日の丸の小旗をふ
って開催地に敬意を示したキューバ。アメリカ、ソ連の大デレゲーション
は目を見はらせた。そして行進の最後を飾る日本選手団の堂々たる大行進
にはわれるような拍手がわき起った。
坂井君の持つトーチから移された聖火は東京の空にあかあかと燃
え上り、ここにアジヤで初めてのオリンピックが華やかにその幕を開けた。
翌十一日、各競技場は朝から沢山の人波で埋まり、駒沢バレー場では日本
女子バレーチームが早くも無敵の進撃をみせた。
ウェイトリフティングではバンタム級の一ノ関選手が銅メダルを、フェザ
ー級のホープ三宅選手はトータル三九七・五キロの堂々たる世界新記録を
うちたて、金メダルを獲得した。
(作品No.NAJ1005-01)
(昭和39年10月14日公開)